この記事は
- 感電の詳しい解説が知りたい
- 感電のあの中毒性は何なのか知りたい
- 感電がどのように作られているか知りたい
方に向けて書いています。
感電/米津玄師
パプリカやLEMONによって全世代からの人気を獲得した米津玄師さん。
今回は、ドラマ「MIU404」の主題歌を担当。ドラマの制作チームがアンナチュラルと同じだそうです。
しかしながら今回はLEMONとは打って変わった曲を提供しています。
米津さんはあまり音域が広い方ではありませんが、安心する低域とビブラートが特徴的な歌い方ですよね。
先日の髭男の藤原さんとはまた違ったスタイルだと思います。
この記事は 髭男のLaughterがどのように作られているか知りたい どのようにサウンドをつくっているか知りたい 同じような曲をつくってみたい 方に向けて書いています。[…]
では今回は米津玄師さんの「感電」について詳しく見ていきたいと思います。
構成
Tempo= about 103
Key=G#m
音域=1.5oct
16ビートのシャッフル曲。ブラスが入っていてカッコいいです。
バブルカムブラザーズのWon’t be Longを思い出してしまうのは世代でしょうか。。
イントロ&Aメロ | 4bar + 4bar |
Bメロ | 4bar + 4bar + 2bar + (1bar) |
サビ | 4bar + 4bar follow 4bar |
Aメロ
メロディー
メロディーの始まりはD#(Sol)。
G#minor pentatonicを軸にして作られています。
A#の音も使われているので、T9入りですね。
Aメロの終わりがG#コードになっているのでここだけメロディーがB(Me)でなく、C(Mi)となります。
G#-C#m7へ解決するドミナント・モーションのため、ハーモニックマイナースケール上のメロディーとなります。
コード
こちらもG#minorのハーモニーです。
よくあるIV-V-Imという動きです。D#7のテンションがオルタードテンションに見えますが、マイナーのトーナリティ−上では#9,♭9はナチュラルテンションですね。
またA#m7♭5-D#7-C#m7というマイナーのドミナント・モーションも登場します。
Fm7♭5というコードはG#mキーには含まれないコードですが、メジャーキーから捉えると#IVm7♭5であり、LEMONでもサビ終わりの要とところで使われているコードです。
B7-Emaj7に解決させずにFm7♭5に寄り道してから解決させるところが、中毒性のひとつのポイントだと思います。
その他
- ドラムは普通の16ビート
- ギター
- ベース
- ブラス
- エレピ(2A)
Bメロ
メロディー
同じくD#(Sol)から始まるメロディー。
こちらもG#minor Penta を軸にしていますが、Eの音も使われているので、C# minor Pentaの音も使われていると解釈できます。
まあ要はG# natural minor Sacleで作られているということになります。
コード
いくつかテンションが出てきますが、トーナリティ−を考えるとどれもナチュラルテンションですね。
Fm7♭5から始まるクリシェがすばらしい。
最後はC7(#9)-B6ということでBメジャーキーに裏コードで解決します。
このBメロクリシェも中毒性のひとつのポイントとなるでしょう。
その他
楽器構成も大きく変わりませんが、構成的にAメロとほぼ同じコード進行で入るため、洋楽チックなコードループものと思いきや怒涛の半音クリシェになる。
これはかなりの玄人ですね。
オルガンの音やギターの単音カッティングが気持ちいい。
サビ
メロディー
G#(Do)から始まるメロディー。
Bメロと同様ですが、4小節目でG(Ti)の音が使われています。
これもG#m に解決するD#7のドミナント・モーションのためナチュラルGとなります。ハーモニックマイナースケール上の音です。
コード
4小節ごとにキーが変わっているイメージです。
- 4bar = G# minor Harmony 暗く解決
- 4bar = B Major Harmony 明るく解決
- 4bar = G# minor Harmony 暗く解決
あえて二段目はメジャーキーとして捉えて度数を拾ってみました。
一段目は、C#7(9)から連続ドミナント・モーションして最終的にImに解決
二段目も同様ですが、最後はI(マイナーの♭III)に解決します。
そして怒涛の一拍コードチェンジを経てG#mに解決します。
この緩急も中毒性ポイントといえるでしょう。
歌詞
一番言いたいことはサビに収められるのが歌詞の常套句なので、サビからみてみると。
たった一瞬の このきらめきを
食べ尽くそう二人で くたばるまで感電/米津玄師
ドラマのタイアップがそもそも意識して作られているのでしょうか?
この一節だと恋人にも見えなくないですが、バディー的な関係の二人というほうがしっくりきます。
「きらめき」というところから、電光がイメージされ、曲のタイトルに結びつきます。
「たった一瞬」というのは二人がバディーでいられる時間のようなものでしょうか。
いつまでもいっしょにいることはないから、今この時間を楽しもうという意味が感じられます。
そして幸運を 僕らに祈りを
まだ行こう 誰も追いつけないくらいのスピードで感電/米津玄師
賭けみたいな人生だけど、相手は最高のバディーのようです。
おまえとならまだ誰も到達できていない場所へ行くことができそうだ。そんな思いでしょうか。
稲妻のように生きていたいだけ
お前はどうしたい? 返事はいらない感電/米津玄師
自分の生き方はこうだけどおまえは?
「返事はいらない」。つまり、もうわかっているということですね。
このサビからこの歌のテーマが「相棒」であり、その二人の化学変化の比喩を「感電」として表現していると解釈しました。
Aメロをみてみると
逃げ出した夜の往来 行方は未だ不明
回り回って虚しくなって 困っちゃったワンワンワン
う失ったつもりもないが 何か足りない気分
ちょっと変にハイになって 吹かしこんだ四輪車感電/米津玄師
殺伐した都会の深夜みたいな情景が思い浮かびます。
行き先もないけども、ハイになって四輪車を吹かしこむ。
東京ミッドナイトですねw
兄弟よ如何しよう もう何も考えない様
銀河系の外れへと さようなら
真実も 道徳も 動作しないイカれた夜でも
僕ら手を叩いて笑い合う
誰にも知られないまま感電/米津玄師
Bメロについてもやはり兄弟という言葉が出てきます。
稲妻のような高速な二人だから、誰にも知られないまま俺らは通じ合っている。
とかそんなイメージでしょうか?
どちらかというとAメロ、Bメロは言葉よりも情景の説明といった感じですね。
その他の部分
つくってみた
というわけでリファレンスしてつくってみました。
前よりはブラスのアレンジがうまくいきました。
まあしかし1Weekで追い込めるのはここまでですね。
歌詞のテーマを「相棒」として、比喩として「歪みペダル」としてみました。
なのでタイトルをつけるなら、「ブースター」でしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
重厚なブラスが入っているため、かなり凝ったアレンジとなっています。
MVも凝ってるし、感電は、
米津玄師さんをカッコよく見せるために、様々な大人たちが頑張った結晶でした。