深夜食堂OP曲 鈴木常吉さん死去
7月6日に、鈴木常吉さんが亡くなられたというニュースを見ました。
鈴木さんといえば、深夜食堂OP曲「思ひで」。
深夜食堂を孤独のグルメ的な飯テロドラマだと思っている人が多くて困るんですが。
このドラマは毎回テーマが料理名ではありますが、中身は人なんだよね。
で、このOP曲。僕も好きで曲を買いました。
ギターで練習もしました。(カポつけないで原キーで弾いてたw)
新宿のネオンの雑踏の中を車で駆けながら流れるアルペジオ。
ささやくような常吉さんの声。
深夜の新宿の空気感がすごく伝わる神演出で、飛ばさずにオープニングを毎回見る人がほとんどではないでしょうか?
「思ひで」はアートだった
昨今の音楽業界、オリコンヒットチャートは10代や20代をターゲットにしたものが大半ですよね。
バンドやダンスミュージックがほとんどです。
どんどんと新曲がリリースされる、音楽が大量消費される時代。
その中で、常吉さんの曲はアートだったんだと思います。
例えば、この深夜食堂ファーストシーズンのエンディングテーマを歌っていたグループを知っているでしょうか?
MAGIC PARTYです。
このユニット。もう存在しません。
僕はこちらの曲も好きだったんですが、売れることはなかったようです。
とてもいい曲なのに。たった3年程度で解散しています。
音楽が大量消費される花職人時代
常吉さんの作品がアートに対し、このMAGIC PARTYは花職人だったのだと僕は解釈をしています。
今のオリコンチャートを席巻している曲もすべて花職人達の仕事です。
華やかではありますが、オリジナリティーもなく、すぐに消費され、すぐに忘れ去られます。
もちろん、米津玄師のパプリカやLEMONのように人の人生に影響を与えうるものもありますが、多くは忘れられてしまうのです。
業界の闇
つい最近読んだ本で、昨今の音楽業界を痛烈にディスっている本がありました。
9割の作家をクソ呼ばわりです。
フィクションではありますが、作者は少なからず曲が大量消費される時代、それに流されてしまう大衆を憂いているのだと感じました。
「思ひで」のような本質に訴えかける音楽が広まる。
そんな業界になることが今の日本には求められているのではないでしょうか?
おそらく僕は「思ひで」がタイアップでなければ一生知ることはなかったし、聴くこともなかったでしょう。
そして、深夜食堂というドラマがあるからこそ「思ひで」も光っているとも認識しています。
アートと花職人
アートとは何か。花職人とは何か。
それについては、こちらの本を読んでいただくとして。
僕はどちらを目指せばいいんだろうか?と思う。
実際今僕が作れるようになりたいのは、MAGIC PARTYのような曲だったりする。
つまりそれは花職人だ。
そのために探求の根を育てているけど、それでも昨今の売れる曲に模した曲ばかり作るのはやはり花職人のやることなのだろう。
前述した「作詞少女」に絶対価値と相対価値の鉛筆の話が出てくる。
ただの鉛筆でも、手塚治虫が使った鉛筆ならば価値がとんでもなく価値が高くなるという話だ。
僕も大衆に左右されないブレない目がほしい。
絶対価値を理解できる人でいたい。アーティストでありたい。
そんなことを鈴木常吉さん死去のニュースを見て思いました。
鈴木常吉さんのご冥福をお祈りします。