この記事は
- 機動戦士Ζガンダムの主題歌が知りたい
- 「水の星へ愛をこめて」がどのように作られているか知りたい
方に向けて書いています。
機動戦士Zガンダム
いつも、現在放送されているアニメーションの楽曲を解説しているのですが。
今、クールの入れ替わり時期で選曲に困ったので、過去の名曲を振り返ってみることにしました。
第一回は、機動戦士Zガンダムの主題歌について分析してみたいと思います。
機動戦士Zガンダムは、1985年に放送されたアニメーションで、1979年に放送された「機動戦士ガンダム」の宇宙世紀直系の続編にあたります。
といってもその間にかなり期間が空いており、ガンダムの世界でも時間が経過していて、
- 地球連邦が腐ってしまった
- 主人公は版地球連邦に属する
- シャアが味方
- ガンダムのデザインが画期的
- 全天視界モニターなど技術発達
かなり革新的なガンダムだったことは間違いありません。
OP曲「水の星へ愛をこめて」
で、主題歌なんですが。
森口博子さんが歌われているんですよね。
しかも、デビュー曲です。
今でこそ、ボイストレーニングの技術が発達したため、この歌唱力の歌手はたくさんいますが。
当時、べらぼうに上手い歌い手の一人として、森口博子さんがいました。
しかも、今の技術では歌のピッチなんてすぐに直せます。
FIRST TAKEなんてものが流行っていますが、
ぶっちゃけボーカル一人で録音している時点で、全部自由自在に直せちゃいます。
しかし当時にそんなものはありません。
だから、ピッチが#ぎみになる部分もあるんですが、それでもメチャクチャ上手いんです。
で、主題歌「水の星へ愛をこめて」。
これがまた、Zガンダムの世界観とメチャクチャ合っているんですよね。
Zガンダムには数十年後に作られた映画版が存在するのですが。
エンディングが異なります。
「水の星へ愛をこめて」はTV版の暗さ、悲しさ、人の愚かさ。
そして人の素晴らしさを非常にうまく表現した傑作です。
現在、森口博子さんが歌われたセルフカバーアルバムもあったりして、
長く愛される曲となっています。
メロディー&コード分析
では分析していきたいと思います。
イントロ
印象
まず、イントロの最初の4小節は「幻想的」な印象をもちました。
その後メインテーマとなる8小節では、「哀愁」や「悲しみ」のようなイメージをもちました。
今回は短調であることが詳しく分析しなくてもわかります。
なのでシンセのメロディーラインも暗く、切ない印象ですね。
分析結果
Key=はEmでした。
最初の4小節は、分数コードが使われているため、なんというか浮遊感というか。
これが「幻想的」の正体ではないかと思います。
ちなみにアルペジオっぽいメロディーはAマイナーペンタ+T9で構成されていました。
その後5小節目からは、王道のIm-IVm-V-Imという進行です。
ここで印象的なメロディーは、Eマイナーペンタ+T9、Aマイナーおエンタ「+T9という2つの半音の動きがあるメロディーとして構成されています。
したがって、通常の5音であるメジャーペンタとは違う繊細さを印象づけています。
また、ところどころハーモニックマイナー由来のVが出てくるため、そのときだけD音がD#となる部分もあります。
Aメロ
印象
イントロの悲しさを引き続き踏襲してはいるのですが、
どこか明るい印象を受けました。
耳だけで判断する限り、2小節目のコードがイントロとは異なるからのように思いました。
分析結果
引き続きEmから始まるコード進行ですが、イントロとは微妙に異なります。
暗いながらも明るく感じた正体は♭IIIであるGですね。
このメジャーコードがあるおかげで暗さが緩和されています。
イントロではIm-IVm-V-Imという進行でしたが、AメロではIm-♭III-IVm-Vsus4-Vという進行に変わっていることがわかりました。
メロディーは変わらずに、Eマイナーペンタ+T9とAマイナーペンタ+T9で構成されているので、
ダイナミックさはなく、繊細に動きます。
イントロ同様にハーモニックマイナー由来のBが使われているため、
ここでもDがD#にベンディングされる部分があります。
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Bメロ
印象
Bメロでは「時が止まる」、「再び動き出す」という印象を持ちました。
これは分析するまでもなく、ドラムのリズムチェンジによるものでしょう。
最後の2小節では、「うずまく思い」という印象を持ちました。
分析結果
「時が止まる」の要因は、ドラムのリズム(バスドラム休み。2拍4拍スネア)によるものに加え、
コード展開が半テンしていることも関係していました。
テンポは変わりませんが、全体的に半テンさせることで時間の流れが止まったように感じさせるわけですね。
5小節目も同じで、リズムが元に戻るのと、コード展開が1小節単位に戻るために、「再び動き出す」という印象を感じさせることがわかります。
そして、最後の「うずまく思い」ですが。
ここは、V7でギタリストお得意の#9というテンションが使われている緊張感からくるものと思われます。
#9はオルタードテンションと言われ、ドミナント7にのみ使えます。
M3rdと半音でぶつかるため、非常に緊張感のあるサウンドになります。
この響きがが「うずまく思い」という感情を表現するのにぴったりなコードだということです。
サビ前半
この歌の面白いところです。
サビが2つあるような構成になっているんですよね。
そのどちらもが美しいメロなんです。
しかも前半は、うずまく人間模様を、後半は人間の美しさと対照的になっています。
それではみていきましょう。
印象
暗い印象のまま、サビに突入します。
なんとなく、派手さのない、「パッとしない」サビの始まりという印象を持ちました。(失礼w)
しかしながらそうすることで、ある種の「覚悟」みたいなものも感じます。
そしてその先にあるもの「結末が暗い予感」という印象を持ちました。
このあたりは物語の内容を知ってしまっているからかもしれませんが。
そして最後の1小節で、「景色が変わる」という印象を持ちました。
分析結果
なんとAメロと同じコード進行なんですね。
気付きませんでした。これが「パッとしない」の正体でしょう。
盛り上がりがないのです。淡々と進む感じ。
これに「覚悟」みたいなものを感じたのでしょう。
同じコード進行で、メロを変えてくる手法。
これは洋楽に多いですが、J-POP、アニソンでもたまに使われます。
メロディー自体はAメロと異なり、Eマイナーペンタ+T9のみで滑らかに動きます。
そして最後1小節。
ここで分数コードが登場します。
この後、先行ネタバレになってしまいますが、
メジャーキーに転調するんですよね。
「マイナーキーからメジャーキーの転換方法としてIV/V-♭VI/♭VIIが使える」
というのはストックしておきたいところです。
EmキーのドミナントであるBから、平行調であるGのドミナントであるDに進行するも、
その上にのっかるコードをひとつ落とすことで転調感をやわらげる。。というか濁すといった感じでしょうか。
サビ後半
印象
サビ後半は一気に雰囲気が変わります。
ここまでがずっと暗かっただけにここで一気に「幸福」を感じます。
これまでは暗かったけれども、「やっとたどり着いた」感もありますね。
しかしながら終わりは暗い印象に戻り、「喪失感」のようなものを感じました。
分析結果
ここで曲の雰囲気がガラっと変わります。
EマイナーからGメジャーに転調します。
ここまでがマイナーキーであったところが、急に明るくなるため、
それが「幸福」や「達成感」の正体と言えるでしょう。
でも、最後は再び悲しみに戻ります。BメジャーコードはEmにおけるドミナントであるため、
暗い雰囲気に戻りそうなイメージになります。それが「喪失感」の由来ですね。
一方歌メロもコード進行と同様の動きをします。
明るくメジャーキーへ転調してからしばらくはGメジャーペンタでダイナミックに動きます。
ところが、歌の終わり2小節でEマイナーペンタトニックに戻り、暗く終わります。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は古い曲ですが、何年も愛されている名曲中の名曲を取り扱ってみました。
今のJ-POPとは時代が異なる分、勉強になる部分が多々あります。
とくに今回は、分数コードの使い方や、マイナーキーからメジャーキーへの転調方法が面白かったです。
これは是非ストックして使っていきたいですね。