この記事は
- バラード曲でストリングスを入れたい
- ストリングスの奏法について知りたい
方に向けて書いています。
バラードの要
バラードを作りたいとき、入っていると質がグッと高くなる楽器、ストリングス。
バンド育ちの筆者ではありますが、数々のバンドのバラード曲でもストリングスが多用されていて、
自身もそういった曲を作りたいときには、入れるようにしています。
初めてストリングスに感銘を受けたのは、コナンの曲だったかなぁ。
Gソロ後半から入ってくるストリングスとそこに絡む太いギターサウンドが感動を誘います。
で、いざ自分でストリングスアレンジをやってみようとすると、なんかシンセっぽくなってしまって機械っぽい。
どうやら、普通に打ち込むだけだとどんないい音源を使ってもダメみたい。。
そうなんです、ストリングスも様々な奏法があり、それらを制御しないとそれっぽいアレンジにはできないのです。
アーティキュレーション
DTMには、楽器の種類だけではなくて、アーティキュレーションというものが存在します。
アーティキュレーションとは
音楽で、おのおのの音の区切り方やつなぎ方のこと。通常、レガート・スタッカート・テヌートなどの用語で表現される。楽譜上では、これらを表す特定の記号で表記される場合が多い。
辞書的な意味は上記のような感じですが、筆者は単純に「奏法」として解釈しています。
ストリングスにも様々な奏法があって、それを駆使して様々表現をすることができます。
ストリングスの構成と音域について
で、ストリングスといってもヴァイオリンだけでなく、音域の違う様々な楽器が存在します。
オーケストラは筆者の専門外ですが、ここでは多くのバラードで使われる弦楽四重奏をフォーカスしてみたいと思います。
【Vn】ヴァイオリン×2
四重奏の場合、ヴァイオリンは2本で構成されます。
Logic Proの場合は、標準でStudio Stringsに2本のヴァイオリン音源が用意されています。
音域的には四重奏の中で最も高い領域(G2-B5)で、涙腺を刺激する所謂泣きの旋律担当と言えるでしょう。
2本のヴァイオリンがポリフォニックに、ときに交わり、ときに離れるメロディーがアレンジの見せ所となります。
このあたりの四重奏全体アレンジには、クラシック特有の細かい禁則(連続五度、並達など)があるのですが、
その辺を勉強したい方はこちらの書籍がオススメです。
開放弦の音は以下でその2オクターブ上まで音が出ますが、あくまで構造上の話で奏者のことを考えて最高音付近は使わないほうがよさそうです。(DTMならいいですけど)
【Va】ヴィオラ
四重奏の中では中音域(C2-B4)を担当する楽器です。
ヴァイオリンとほぼ同じ構造ですが、ヴァイオリンよりも低い音を出すために、全体的に大きいのが特徴です。
音域は以下。(都合上ト音記号ですが、実際はハ音記号を使うようです。)
【Vc】チェロ
四重奏の中では中、低音域(C1-E4)を担当します。
上記2つの楽器に比べさらに大きく、ヴァイオリンとチェロは顎に挟んで演奏するスタイルですが、チェロはエンドピンがあり地面に置いて弾きます。
音域は以下となります。
主なストリングスの奏法について
では、代表的なストリングスの奏法についてみてみましょう。
Sustain
Logic Proでは標準のアーティキュレーションです。
サステイン(維持する)なので、音がまっすぐ伸びていくようなアーティキュレーションです。
弦楽器といえばこのサウンドと想像しやすく、最も使う奏法といえるでしょう。
Logic Proでは発音の頭にアクセントがある「Accented Sustain」もあります。
Staccato
サステインとは異なり、音を短く切る奏法です。
スタッカートは様々な楽器で使われますが、おおよその目安として音符の半分程度で音を切るイメージです。
Spiccato
ヴァイオリン属独自の奏法です。
スタッカートと同様にショートノート系で音を短く切るのは同様ですが、弓を跳ねるように弾くためスタッカートよりより短く、サウンド的にも跳ねるような音になります。
Pizzcato
こちらは弓を使わずに、指で弾くように弾く奏法です。
スタッカートやスピッカーと同様にショートノート系ですが、指で弾くため、高音域が削れた独特の甘く太い音になります。
Tremolo
弓を細かく動作させる奏法です。(指で行う場合もあるようです。)
弓で行う場合は音程の変化がありませんが、小刻みに音が発音されるため、独特のザワザワした雰囲気を演出するのによいです。
Glissando
ヴァイオリン属はギターと違い、フレットがありません。
したがってボトルネック奏法のような音程を連続的に上下させることが可能です。
グリッサンドすることで音が滑らかに滑らせることが可能です。
ポルタメントと呼ばれることもありますが、厳密にはその二つは違うもので、到達する速度に違いがあるようです。
Logic Proではポルタメントはなく、グリッサンドのみとなります。
作ってみた
ということで上記のアーティキュレーションを使って作ってみました。
歌のバックではSustainやAccented Sustain、Sutaccatoを使い、間奏でPizzcato、大サビ前でTremoloを使っています。
Logic Pro標準でもアーティキュレーション次第でここまで再現は可能です。(追い込めばもっと)
まとめ
いかがでしたでしょうか?
バラードものの楽曲を作りたいとき、ストリングスを入れるとグッと質が上がり、涙腺を刺激します。
アレンジは慣れるまで大変ですが、是非トライしてみてください。