この記事は
- TVアニメ「SPY × FAMILY」のOP曲が知りたい
- 「ミックスナッツ／Official髭男dism」のコードが知りたい
方に向けて書いています。
TVアニメ「SPY × FAMILY」
2022年4月クールにて放送された「SPY × FAMILY」。
少年ジャンプ＋で隔週連載中の人気漫画原作のアニメーションです。
筆者は原作は未読ですが、事前のアニメイベントで取り上げられるなどかなり期待値が高い作品と認識しています。
OP曲「ミックスナッツ／Official髭男dism」
OP曲を担当するのは、ノリに乗っているヒゲダン。
彼らをOPに起用するあたり、制作側も相当に気合が入っている感じがしますね。
ルパンのようなジャズ調の曲は、きっと彼らがコンフィデンスマンの主題歌を担当していたところから、制作側が選んだのではないかと勝手に想像しています。
やぱりピアノが強いバンドは様々なジャンルの曲を書くことができ、楽器の王様と呼ばれる由縁かなーと感じています。
以前もヒゲダンの曲は分析したことがあります。
ピアニストならではの難解な進行をするので、こちらもかなり気合を入れなければなりません。
この記事は 東京リベンジャーズの主題歌が知りたい 「Cry Baby／Official髭男dism」がどのように作られているか知りたい 方に向けて書いています。 東京リベンジャーズ […]
さあ行ってみましょう。
メロディー＆コード分析
イントロ
印象
イントロから「騒がしい」印象です。
曲全体を通してもベースがブリブリと音を刻んでいて、これは相当練習しないと弾けないだろうなーと勝手に思ってしまっています。
どんなふうに感じたかを書き留めておくことはとても重要なんだよ。
分析結果
バックでピアノが複雑な和音を弾いています。
おそらくテンションを使った和音だとは思うんですが、正直めちゃくちゃ弾いてもいいんじゃないかと。。
コードとしてはF#m一発です。だからKey=F#mでよいでしょう。
ただ、ベースがF音も弾いてるようなので、コードにするならF#mM7ってところでしょうか。
ちなみにベースラインは、
F#G#ABCFEDC#G#ACBF#G#A
F#G#ABCFEDC#GG#ACBGAF#
という動きをしているようです。
基本F#マイナースケールですが、F音やG音なども使われています。
Aメロ
印象
Aメロは「忙しいけどオシャレ」という印象です。４小節目に鍵盤奏者らしい「ジャジー！」なコードが弾かれ
その後は「王道進行」をしたのちに、「追われる感じ」と印象が遷移していきます。
Aメロ後半は「追う側が増えていく」ようなイメージや「味方も増えていく」といった景色が想像されました。
ルパンが銭形に追っかけられながら、双方に味方が増えていって賑やかになっていくようなイメージです。
分析結果
イントロは短調でしたが、ここでメジャーキーに変わります。
Key=G♭です。（すいません、F#メジャーでもいいんですがG♭にしてます。）
ベースがイントロと同様にウォーキングしているので「忙しい」。しかしその中でスタッカートぎみに刻まれるピアノのコードが「オシャレ」の要因でしょうね。
「ジャジー！」に聞こえたのはI7にテンション9thが入ったコードです。
ダイアトニック上IはIMaj7ですが、後続のコードBに続けるためのセカンダリードミナントです。
BをIとして捉えたときに、D♭m-G♭7-BはIIm-V7-Iとなるわけです。
セカンダリードミナントは多用されていて、２,6,16小節目のB♭7もそうです。
8小節目のBmはIVmで短調由来のコードです。よく使われます。
「追われる感じ」はサイレンぽい効果音によるものでしょうね。
そして、この後にギターのカッティングのようなフレーズが両サイドで鳴ってくるために、「追う側が増えていく」、「味方も増えていく」となりました。
このさりげないギターのフレーズもいつかコピーしたいです。
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Bメロ
印象
Bメロでは、「起こるトラブル」や「災難」といった印象からスタートしますが、
全体的には「だけど楽しい」、「追われる日常も」といったポジティブなイメージとなりました。
分析結果
前半の印象の由来はリズムのキメによるものと解釈しています。
ブラスが入ってきてゴージャスになってきますね。
コードとしては、B-E-A-Dと５度進行、つまりドミナントモーションの連続です。
このあたりは、五度圏というものを知るとパッと気づくようになります。
セカンダリードミナントはとっても重要 音楽理論もセカンダリードミナントあたりまでやってくると、だんだんと頭が混乱してきます。 （かつそれにテンションとかの話とかになってくると発狂しますよね。。） […]
その後は、マイナーのツーファイブでG♭に解決します。
メロディーは基本Bmペンタ＋T9で構成されていますが、ここで一瞬B音がC音にベンディングされるので歌われる方は注意しましょう。
５小節目からは、厳密には調が変わっています。
自分的な解釈では、F#mの平行調であるAメジャーと見せかけて、Dメジャー。
そうするとG7（IV7)がまた調性外のコードとなるのですが、ブルースと捉えればOKなので。
メロディーもここでG♭ではなくG音にベンディングされます。
そしてこの後は、再びKey=F#mに戻る感じです。
ここのコードはいろいろなコード公開サイトで書かれていたんですが、自分の耳的にはこのようなコードとなりました。
でも歌は歌えないんですよね。。
ならボーカロイドで作曲をはじめてみたらどうだろう？
歌が歌えなくても歌を作るボカロPになれば君も立派なアーティストだよ。
参考までに筆者の曲を紹介しておくね。
サビ
印象
サビです。
「止まらない、ダッシュ」といった勢いある印象です。
５小節目で一旦「一休み」という感じにはなるのですが、７小節目では「すらする暇がない」と打ち消すように忙しく進行していきます。
この曲はテンポも速く、ベースも動きまくっているのに、その中に「それでも楽しい」という印象が強く残ります。
このSPY×FAMILYというアニメは、スパイ、殺し屋、超能力（テレバシー）というそれぞれの素性を隠して、家族を演じるという物語ですが、その隠し事だらけの日常を表現するためにこのようなアレンジになったのだと思います。
危ういけども成立する。
そしてその中に「それでも楽しい」を感じたり、毎週「起こる事件」も「賑やかに乗り越えていく」といったスパイスをちりばめてある。
歌詞もそうですが、楽曲としてこの作品を表現するのに、制作側もこの曲の第一稿が出てきたときに唸ったんじゃないでしょうか。
表現者ってすごいですね。
分析結果
サビですので、コードは王道なものです。
解説するポイントというか、個人的にストックしておきたいノウハウがあるとすれば３小節目。
I-III7っていう進行はよくあって、その後は大概VImに解決するんです。Aメロがそうです。
III7-VImでマイナーのドミナントモーションです。
なんですがサビでは、I-III7-V/VIとなってるんですよ。
Aメロでは普通にVImだったのに。
これはVImだと暗く解決してしまうことと、歌メロがA♭で伸ばされていることに起因すると思います。
同様に１６小節目や２０小節目もギタリストならば普通にVといってしまいそうなところをIV/Vとして進行を滑らかにしています。
鍵盤奏者がコードのスペシャリストと言われる所以ですね。あっぱれ。
心揺さぶってくれた方々に本当に感謝！
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まとめ
いかがでしたでしょうか？
コードを公開しているサイトはたくさんありますが、なぜそうなっているかを自分の解釈で記事化してみました。
ヒゲダンの曲はコードが難解ですが、その分勉強になることが多く、売れる要素がたっぷり詰まっていると思います。
これを作りながら、ピアノも弾いてかつ歌も歌えるなんてすごいですね。
自分も日々音楽力を鍛えていきたいと思います。
