この記事は
- ミックスで最初にやることが知りたい
- ミックスがうまくできない
- 各楽器最適なコンプの設定が知りたい
方に向けて書いています。
ミックスでとても大事な工程
各楽器をうまく混ぜて一曲に仕上げるのがミキシングですが、やってみると全然CDのような音になりません。
それは一体なぜでしょうか?
昨今のDTMの機材進化により、アマチュアであってもCDクオリティーの作品を作ることはできます。
でも、このミックスの技術はやってみると驚くほど難しく、自分の機材やプラグインを疑いたくなってしまいます。そうやってDTMerはプラグイン沼にハマっていくわけですが。。
どうしてミックスがうまくいかないのでしょう。
それはきっと、最初にやるべき「下ごしらえ」がしっかりできていないからだと思われます。
各トラックを気持ちいい音にする
ミックスにおける大事な工程「下ごしらえ」。
一体何をするかというと、本質的には
各トラックを単体で気持ちいい音にする
です。
各楽器のトラックを聞いただけでいい音だなと思えるところまで追い込むことがとても重要です。
場合によっては、1トラックに1日かけてもいいいくらいです。
本質的には上記を目的としますが、技術的には何をするかというと。
EQ、コンプで音をキレイにしていきます。
料理で言えば下味をつける。塩、コショウのようなものです。
ちなみにEQとコンプの順番。ギタリスト的にはコンプが先というイメージがありますが、ミックスの場合はEQを先にしたほうがよいと個人的には思います。
EQというのは基本カット方向で使いますが、
不要な帯域を切ったあとでコンプをかけることでよりオイシイ部分を際立てるというか、
よりかけたいところに正しくコンプが機能するからです。
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是非やってみてね!
ケース
では実際にはどのようにかけていけばいいでしょうか?
今回はこの音源の下ごしらえをしてみたいと思います。
最終的には耳で判断をするのですが、ここではある程度数字で示してみます。
バスドラム
曲の土台になる低音からいきます。ピラミッドで言えば最下層。
まずはバスドラム。
元音はこちら。
EQ
EQで、人間の聞こえない帯域をカットします。
ダンス系の場合、大きな箱で鳴らす想定の音楽であるためローカットしない場合もありますが、不要な部分があると最終的な音圧に影響が出てくるため、カットしておいたほうがよいです。
コンプ
ドラムはアタックの速い、FETやVCAがよいです。
このあたりはこちらの記事を参照してください。
この記事は DTM初心者 コンプレッサーの仕組みが知りたい 正しい使い方が知りたい という方に向けて書いています。 コンプレッサーとは? DTMにおけるコンプレ[…]
コンプの潰し加減ですが、低音であるほど大きいイメージです。
RATIOは8くらいかけてよいです。バスドラムの場合は、GR5dBくらい振れればよいかと思います。
下ごしらえ済みがこちら。
締まりがでましたね。
ベース
続いてベースです。
このバスドラムと、ベースがピラミッドの最下層となり、この2つが気持ちよければほぼミックスは完成といっても過言ではありません。
元音はこちら。
EQ
バスドラムの帯域を削ります。
このあたりは役割にもよるのですが、場合によってはベースのほうが低域を出す場合もあります。
なんにせよ、互いに干渉しないようにするとよいですね。
多くの場合、バスドラムのほうが下として、ベースの50Hz以下をカットするのが妥当かと思います。
コンプ
ベースも深めにかけます。ピラミッドの土台であるためです。
RATIOは6〜8くらい。GRも5〜6dBくらい振れてよいでしょう。
リリースは次の音に向かってゆっくりとリリースされる速度がよいです。
下ごしらえ済みがこちら。
安定感が出たと思います。
スネア
ここからは上モノです。
土台はできたので、それらの帯域を切って整えていきます。
元音はこちら。
EQ
100-150Hzくらいからローカットしてよいと思います。
それより下が出ていないので、大胆にカットしてよいです。
コンプ
ミドルを支える部分。RATIOは4〜6くらい。GR5dBくらいで調整しましょう。
下ごしらえ済みはこちら。
強弱の部分でダイナミクスが整えられました。
ドラムのその他のパートは、RATIOは3ほど(一番ナチュラルな掛かり)でよいです。
EQでバスドラムやベースの帯域を邪魔する成分をカットして、コンプをかえてあげればドラム、ベースは下ごしらえ完了です。
ドラムすべての下ごしらえが完了したのがこちら。
いい感じです。
ピアノ
元音はこちら。
EQ
こちらも土台の邪魔をする部分をカットしてあげます。
アレンジで低音を弾かないという方法もありますが、EQで処理をしてあげるというのもありかと思います。
ベースの邪魔をしそうな70Hz以下をカットしました。
コンプ
RATIOのあたいはナチュラルな3ですが、GRは深めに振れるよう設定しました。
ピアノの場合どういった音にしたいかという方向性によってしまうのですが、今回は固めな音にしたかったので、このようなセッティングとなりました。
下ごしらえ済みはこちら。
低音がすっきりしてダイナミクスが整えられました。
ギター
元音はこちら。
かなりモコモコしています。
EQ
ギターの(とくにコードバッキングの)場合、不要な低音がボワボワ出ます。
しっかりと処理してあげましょう。
単体で聞いて、なんかコモッていると感じたら、するべきは低音を削ることです。
高音成分を上げることは極力しないでください。適切に低音を削ると高音が抜けてきます。
今回は133Hzをローカットすることで抜けるサウンドになりました。
少しハイが強すぎたので3kHzも軽く削っています。
コンプ
ギターの場合、オーバードライブしたサウンドはそもそもコンプがかかっているようなものです。
したがって弱めにかけます。
RATIOは3程度。GRも-3dBほどでよい感じとなりました。
下ごしらえ済みがこちら。
かなりすっきりしたのがおわかりいただけると思います。
ヴォーカル
いよいよボーカルです。
元音はこちら。
ある程度コンプをかけ録りしています。恥ずかしい。。
EQ
こちらもマイクでの録音で不要なローがいる場合があります。
バスドラムやベースが鳴っている帯域は切ってあげましょう。
今回は136Hzあたりから下を切りました。7kHzを切っているのはマイクプリのノイズがのってしまったためにカットしています。
コンプ
VoのコンプはOpt系が合います。アタックが遅いため効果が自然になります。
今回は段がけしてみました。
一段目は緩めにかけます。RATIOも2程度、GRも-3程度となります。
2段目のコンプは積極的にかけました。
RATIOは3程度。GRは-5dB程度かけています。
下ごしらえ完了がこちら。
ダイナミクスが整えられ、前に出るサウンドになりましたね。
下ごしらえが済んだら
下ごしらえが済んだら、あとは適当にバランスを調整してみてください。
どうでしょう?
もちろんまだまだ追い込まなければいけませんが、ディレイもリバーブもかけていないのに、
これだけでもうよいミックスになるのです。
ここで初めて各楽器の帯域調整のためのパンやEQを行う意味が生まれてきます。
その方法についてはまたいつか。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ミックスにおいて最重要な工程。下ごしらえについてでした。
本当に各トラック1日かけてもいいくらいなので、ぜひ追い込んでみてください。
せっかくの作品がよりキラリと光るように。