この記事は
- ミキシングでバスドラムが抜けて来ない
- ダンス系なのにバスドラムが締まらない
- サイドチェインのやり方が知りたい
方に向けて書いています。
ミキシングは低音が要!
突然ですが、音楽の要になるのは何だと思いますか?
それは歌かもしれませんが、サウンド全体となれば低音というのがとても重要なファクターとなります。
実際、巷の曲をスペクトラムでみてみると以下のように高音域よりも低音域のほうが大きく、
そこから高音に向けてなだらかに成分が減っていっている様子がわかります。
この低音部分を担当するのは主に、バスドラム(キック)とベースです。
この2つがうまくミックスできれば、もうミックスはほぼできたも同然なのです。
バスドラムとベースの棲み分け
ところが、このバスドラムとベースですが、よく喧嘩します。
帯域が被ってしまい、双方がいまいちよく聞こえなくなってしまうのです。
なので、ミキシング時に主に以下の2つの方法でそれを回避します。
- EQで棲み分け
- サイドチェイン
EQで棲み分けというのは、音域で分けるということです。
バンドものであれば超低域(〜100Hz)をバスドラム、低域(100Hz〜)をベースにすることが多いですね。
ダンスものであれば低音ベースを効かせたいので逆にすることもあります。
帯域のかぶりを回避して聞きやすくするんですね。
ですが、それだけだとどうにも棲み分けきらないんです。
そんなときはもうひとつの方法である「サイドチェイン」で行うことで聞きやすくすることが可能です。
サイドチェイン?
EQが帯域によって棲み分けを行うのであれば、
サイドチェインは時間軸によって棲み分けを行います。
つまり、バスドラムが鳴っているときだけ、ベースを小さくするのです。
バスドラムは音が連続してサステインすることはありません。(深くリバーブをかけたfx的なものを除く)
したがって、そのときはしっかりバスドラムを聞かすために、ベースを下げてあげればよいのです。
で、それをフェーダーで書くのはとっても面倒なので、
コンプレッサーで行うことが主流です。
なお、サイドチェインはEDMではシンセにも多用されますが、
ロックバンドのベースにもグルーヴィーさ出すために不可欠な技なのでここでしっかりやり方を覚えましょう。
サイドチェインのやり方
今回は、筆者の曲「偽花火」でやってみます。
まずはサイドチェインをしていない状態のものを聴いてみます。(音量注意)
EQで棲み分けはできてきるので、これでも全然問題はないのですが、低音にもっと締まりを出すためにサイドチェインをしてみます。
バスドラムとベースだけの音源を聴いてみましょう。
ではベーストラックに、新たにコンプレッサーをインサートします。
基本的に、AUTO GAINやリリースの値を自動で指定する「AUTO」はオフにします。
(下図はコンプレッサーの種類が違いますが、上のもので問題ありません)
コンプレッサーの右上の「Side Chain」から、バスドラムのトラックを選択しましょう。
これで、バスドラムのキックをトリガーとしてコンプレッサーをかける設定となりました。
あとは、値を設定します。
バスドラムが鳴っている間だけ、ベースの音を引っ込めればよいので、
ATTACKはノイズが出ない程度に最速。リリースは50msほどにすればよいでしょう。
RATIOとTHRESHOLDはお好みなのですが、ここでは一旦RATIOを6.6:1、THRESHOLDは-25.5dBとしてメーターは-8dB程度触れるように設定しました。
それで音を聴いてみると。
ベースが鳴っているときだけベースがやや音が引っ込んでいるのがわかるでしょうか?
ベース単体で聴いてみます。
効果がわかると思います。
これですべてのミュートを解除し聴いてみると。
低音がより締まり、グルーヴが強調されるようになりました。
バスドラムだけのトラックがない場合
バスドラムだけのトラックがない場合でも、バスドラムをトリガーにしてサイドチェインをかけることは可能です。
コンプレッサーの、「Side Chain」ボタンをクリックしましょう。
ここで、FREQUENCYの値を50Hzあたりに設定し、FILTERの「ON」をクリックすることでバスドラムをトリガーにすることができます。(「LISTEN」にするとドラムトラック自体を聴くことができます。)
ドラムトラックが2チャンネルにまとまってしまっているときに重宝します。
もちろん!ボーカロイド音源だってこのノウハウを使えば、
CDみたいなリアルな音に仕上げることができるよ。
RMSメソッドも勉強すればこんなふうに質の高い楽曲が一人で作れるようになるよ。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
EDM系でよく使われるサイドチェインをアレンジではなく、聴きやすさ向上という目的のものと使う方法でした。
バスドラムとベースは曲の大きな土台になる部分です。
時間ある限り追い込んで、心地よいサウンドを目指してください。