リコリス・リコイルED「花の塔/さユり」メロディーコード分析

この記事は

  • TVアニメ「リコリス・リコイル」のED曲が知りたい
  • 「花の塔/さユり」のコードが知りたい

方に向けて書いています。

 

リコリス・リコイル

 

2022年7月クールにて放送されたTVアニメ「リコリス・リコイル」。

 

犯罪を未然に防ぎ、人知れず平穏な日々をもたらす秘密組織Direct Attack (DA) と、その支部である和カフェ喫茶リコリコ。リコリコの店員でありながらリコリスと呼ばれるDAのエージェントでもある錦木千束井ノ上たきなの2人が、時には店員としてコーヒーの提供やちょっとした頼まれ事などDAの業務から外れた様々な問題を解決し、時にはリコリスのバディとして困難に立ち向かう姿を描く。

wikipedia

 

TVアニメオリジナル作品であり、作画の高さから早くも人気作になりそうな予感です。

制作はA-1 Picturesが行っており、TVオリジナルということでどのような展開/結末になるかわからず、SNSからも人気の高さが伺えます。

 

Twitterでもどなたかが書いていたんですが、OP曲で二人で尻を蹴り合うシーンが、なんだかとってもいいんですよね。

映画スタンド・バイ・ミーのオマージュのようです。

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リコリスは犯罪組織と戦う組織ですが、どうか二人が無事であることを願いたいですね。

 

ED曲「花の塔/さユり」

筆者の個人的に趣味で、ED曲がとってもいいので今回はED曲分析してみたいと思います。

ED曲を担当するのは、さユりさん。

 

 

本編の終わりと同時にEDが流れ込む、シティーハンタースタイルのEDです。

もうこの入り、無条件に好きなんですよね。

 

作詞・作曲もさユりさんが担当しています。

 

なお筆者もボカロとして活動をしております。

「花の塔」のコード確認の前に30秒でも視聴いただけるとうれしいです!

メロディー&コード分析

 

 


 当ブログのコード譜の見方

 

当ブログでは、まず聴いた印象を言葉にしてから、コードを採取しています。
印象を確認する際は2行、最終的にコード譜4行の表となります。セルは2拍単位です。例えば以下のような表示になります。

(冒頭歌詞)

コード 例:CMaj7
度数 例:IMaj7
印象 例:たのしい、悲しい
メロディースケール C Major penta

 

キラキラ光る〜

E♭/G E♭m D♭/F G♭
II/♭V IIm I/III IV
ワクワク
B♭m penta+T9

 


 

 

イントロ

 

印象

 

レトロだけど ポップ 疾走感
少し寂しい 疾走感
続く

 

イントロでは、「レトロだけどポップ」という印象になりました。

これはもう、ギターの音色によるものです。

 

2小節キメがあったあとに「疾走感」あふれるイントロが始まり、「続く」ようなイメージチェンジの後、歌に入ります。

 

のおとさん
なぜ印象を確認するのですか?
くどしゅん
音楽は感情がすべてだからだよ。心がどのように動いたか。
どんなふうに感じたかを書き留めておくことはとても重要なんだよ。

 

 

分析結果

 

D♭ A♭ E♭ Fm D♭ A♭
IV I V VIm IV I
レトロだけど ポップ 疾走感
Fm penta T9
E♭ Fm D♭ A♭
V VIm IV I
少し寂しい 疾走感
Fm penta T9
E♭ D♭
V IV
続く
Fm penta T9

 

 

イントロはKey=A♭です。

 

コード進行的に目新しいものはありません。とてもシンプルです。

 

「レトロだけどポップ」の由来であるギターサウンド。

 

おそらくオーバードライブで歪ませたあとに、ロータリー(レスリー)スピーカーのエフェクトを効かせていると思います。スピーカーユニット自体が回転しており、独特のモジュレーションがかかります。

 

「疾走感」の由来はドラムの4つ打ちビートだったり、ハイハットのクローズ/オープンだったり、要因はたくさんあると思います。

 

「少し寂しい」はここで一旦VImで解決するからでしょう。

 

最後はサブドミナントであるD♭で打ちのばしになりますが、サブドミナントというのはトニックにもドミナントにも行くことができるために、「続く」印象となりました。

 

よく曲の終わりなんかでもサブドミナントを使うことがあり、「続いていく」印象が残ります。

 

 

のおとさん
記事を読んでいたら、もう一度観たくなってきてしまいました。
くどしゅん
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Aメロ

 

印象

君が持ってきた〜

楽しく 騒がしい けど何か 足りない

今日はまだ〜

彩り添えても まだ足りない ピースが 揃う

 

Aメロは「楽しく騒がしい」という印象です。

なんですが、その中に「けど何か足りない」といった満たされないような感情がわきました。

 

5小節目以降も「彩りを添えてみても」、「まだ足りない」

 

ちょうどたきながDAから左遷を食らって千束のもとに来るも、思ったような仕事ができずに不満を持つ感じです。

 

それがAメロの終わりで、やっと「ピースが揃う」ような印象となりました。

 

分析結果

 

君が持ってきた〜

Fm D♭ E♭ A♭ Fm D♭ E♭ A♭
VIm IV V I VI IV V I
楽しく 騒がしい けど何か 足りない
A Major Penta Fm Penta+T9

今日はまだ〜

Fm D♭ E♭ A♭ Fm D♭ E♭(sus4) A♭
VI IV V I VIm IV V(sus4) I
彩り添えても まだ足りない ピースが 揃う
A Major Penta

 

 

不思議なのがVImというマイナーコードから始まるのに、「楽しく騒がしい」という印象になったことです。

これはもしかしたらメロディーがAメジャーペンタでダイナミックに動くからかもしれません。

 

「けど何か足りない」は楽器の編成です。

ベースが不在なんですよね。これにより味気が足りなく感じるのです。

 

5小節目からはギターなどのスパイスも効いてくるのですが、それでも「まだ足りない」。

 

それがAメロの終わりで低音成分が入ってきて、「ピースが揃う」という感じです。

 

 

Bメロ

 

印象

 

窓に飾った〜

穏やかになる

旅して〜

元気が 出てくる 何か始まる

(キメの1小節)

新しい世界へ

 

Bメロは「穏やかになる」感じですね。

 

喫茶店の手伝いをすることで、だんだんとたきなが穏やかになっていく感じです。

筆者は現在4話あたりまで視聴していますが、たきながあんなに笑うなんて思ってもいませんでした。

 

ずっとクールキャラでいくのかと思ったら、もう満面の笑みじゃないですか。

 

それを彷彿とさせるように5小節目からはサビに向かって「元気が出てくる」、「何か始まる」といった印象になります。

 

そして1小節「新しい世界へ」というイメージから、サビに突入します。

 

分析結果

 

窓に飾った〜

A♭/C D♭ E♭ A♭
I/III IV V I
穏やかになる
Fm penta +T9 B♭m penta+T9 A Major Penta

旅して〜

A♭/C D♭ E♭
I/III IV V  
元気が 出てくる 何か始まる
Fm penta +T9

(キメの1小節)

E D♭7
♭VI IV7
新しい世界へ

 

 

ビートが一瞬半テンになることで、「穏やかになる」を演出しています。

 

ですが、5小節目でもう元気が出てきます。スネアの連打やフィルによるものでしょう。

コード進行自体もとてもシンプルです。

 

I-IV-V-VImという王道進行ですが、IをI/IIIとすることでMiFaSolとルートが上がっていくことで元気が出てくる感じですよね。

 

最後の1小節は単調からの借用和音♭VIが出てきます。

これは、サビに行く前などで本当によく使われますし、調が異なるコードなので「新世界感」が非常に出やすいです。

 

そして最後のD♭7。

 

これはサビに突入するためのコードだと思われます。

おそらくサビは転調し、F#のメジャーかマイナーに解決させるためのドミナントとして打っているのでしょう。

 

のおとさん
くどしゅんさん、音楽の世界って奥深いですね。何か自分も作ってみたくなりました。
でも歌は歌えないんですよね。。
くどしゅん

ならボーカロイドで作曲をはじめてみたらどうだろう?
歌が歌えなくても歌を作るボカロPになれば君も立派なアーティストだよ。
参考までに筆者の曲を紹介しておくね。

 

 

サビ

 

印象

 

君の手を〜

悲しみとともに 走る

孤独を知らない〜

もう二度と〜

続く戦い 苦しみ

できない〜

楽しいこと どちらも 受け入れ

 

AメロやBメロがコンパクトにまとめられているために、サビはとても長く構成されています。

分析してみたところコード自体は同じでしたので、最初の16小節のみ解説します。

 

サビの印象は「悲しみとともに」「走る」という、少し切ない系の印象となりました。

 

このアニメ自体が今後どのような展開になるかはわからないのですが、犯罪組織と戦う組織である以上つらい展開が今後あるのかもしれません。

なんとなく、今のままの明るさというのは続かないのかなっとこの曲のコードを聞いて思ってしまいました。

 

9小節目では「続く戦い」から「苦しみ」といった印象にもなります。

ですが、13小節目では「楽しいこと」というイメージにもなります。

 

銃を使って人と戦うシーンと、喫茶店で楽しく過ごすシーン。

その2つがクロスしていくようなイメージです。

 

それらを「どちらも受け入れる」といった印象となりました。

(このあとさらに16小節続きますが、基本同じ印象です。)

 

 

 

分析結果

 

君の手を〜

F#m D E A E/G#
VIm IV V I V/VII
悲しみとともに 走る
A Major Penta

孤独を知らない〜

F#m D E A
VIm IV V I

もう二度と〜

D E/D C#m C#7/F F#m
IV V/IV IIIm III7/♭VI VIm
続く戦い 苦しみ
Bm penta +T9

できない〜

B E C#7
II V III7
楽しいこと どちらも 受け入れ
F#m penta+T9

 

 

前述のとおり、Bメロ最後のコードはドミナントで、サビ頭でF#mに解決しました。

 

ですが、これはKey=AのVIということになります。

「悲しみとともに」はマイナーコードであることに由来します。

 

コード進行は、ザ名曲進行であるVIm-IV-V-Iですね。

ドラムやベースもしっかりビートに乗っているために、「走る」イメージとなりました。

 

「続く戦い」の部分。普通にIV-Vとしてもいいんですけど、おしゃれにIV-V/IVとしています。

IVはサブドミナントであるために「続いていく」感じがするコードであることは前に書きましたね。

 

ベースが次のコードに移ってもIVを維持するためにそのような印象がより強くなります。

 

その後印象は「苦しみ」。これも名曲によくあるIIIm-III7-VImというセカンダリー・ドミナントでした。

このセカンダリードミナントをうまく使うことが、泣ける曲を作るには重要なポイントとなります。

 

「楽しいこと」というのは、IImでなくIIというメジャーコードを使っていることに起因します。

最後の「どちらも受け入れ」というのは、再び打たれるセカンダリードミナントC#7によるものです。

 

III7となるために、この時点でVImに戻る感じが強くなるために、

少し切なく、そして力強く進んでいくイメージとなるためにそのような印象となったのでしょうね。

 

このあとサビをもう一周同じコード進行で歌が締まります。

 

 

のおとさん
やっぱり楽曲を改めて聴いていたらもう一度観たくなっちゃいました。
くどしゅん
わかる!アニメや映画の曲と映像は、本当に総合芸術だよね!
心揺さぶってくれた方々に本当に感謝!

 

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まとめ

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

イントロやAメロを聞くと、とっても明るくロックかつポップな曲に聞こえるんですが、

サビの転調と始まるコードがVImであることから、楽しさも苦しさを知るような重めのサビに成り代わっていく素晴らしい楽曲ですね。

 

ティザーなどをみていると終始明るい印象なんですが、リコリスは銃を携帯する犯罪を未然に防ぐ組織。

悲しみを乗り越えていくような展開にもなるのかもしれません。

 

そのときに、このED曲がまたぐっと来るんじゃないでしょうか。

 

くどしゅん
シンプルだけど、しれっと転調もしてるし、疾走感が素晴らしい。
何よりこのアニメの世界観に合う楽曲となってます。
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