この記事は
- TVアニメ「その着せ替え人形は恋をする」のOP曲が知りたい
- 「燦々デイズ/スピラ・スピカ」のコードが知りたい
方に向けて書いています。
TVアニメ「その着せ替え人形は恋をする」
2022年1月クールにて放送されたTVアニメ「その着せ替え人形は恋をする」。
クラスでも友達のいない人形職人見習いの主人公が、スクールカーストでも上位なクラスメートのお願いで、コスプレ衣装を作り始めるという物語です。
今はヲタクでもスクールカースト上位ってこともあるんですねw
筆者の時代はヲタクはヲタクでしてかありませんでしたが、彼女はクラス人気者でありかつエロゲー好きという設定がなんとも令和だと思います。
「恋をする」という意味は、主人公との恋なのでしょうか。
それともキャラクターに恋をするということなのでしょうか。
この着せ替え人形こと喜多川海夢が、自分の好きなものに忠実に生きる姿をみて、主人公 五条新菜も成長していくという魅力的な物語となりそうです。
OP曲「燦々デイズ/スピラ・スピカ」
主題歌を担当するのは、スピラ・スピカというバンド。
今回初めて聴いたバンドさんですが、バンド名の由来
曲を聴いてくれる人たちが、落ち込んだり弱気になったりしてしまうような先の見えない暗い道のりにいても、星の光のように輝いて道を照らして導けるようなバンドになりたいという思いを込めた。
ラテン語で「生きている限り希望を持つことができる」という意味の「スピラ・スペラ」と、青く光る一等星「スピカ」を掛け合わせている。
のように確かに、キラリと光る何かを感じるバンドさんです。
売れるバンドって、なんというか立ち居振る舞いというか、根底にある思想がしっかりしてるんですよね。
そしてブレない。
筆者もそういうポリシーを持って音楽に臨みたいなぁと日々感じています。
メロディー&コード分析
歌い出し
印象
スタートから「太陽のような明るさ」を感じさせます。
コスプレ好きの喜多川海夢のイメージカラーといった感じです。
その後「青春」というちょっと甘酸っぱい印象となり、それが「始まる予感」を感じさせてイントロに入っていきます。
どんなふうに感じたかを書き留めておくことはとても重要なんだよ。
分析結果
Key=G♭です。
なかなかに発狂するキーですが、ギターは半音下げとかだったりするのでしょうか。
メジャーコードが2連続打ち伸ばしからスタートするため明るい印象となり「太陽のような明るさ」を感じ、その後2連続でマイナーコードとなるために「青春」の甘酸っぱさを感じたのでしょうか。
その後はサビ後半の王道進行「始まる予感」をしてドミナントに向かいます。
「始まる予感」というポジティブな印象は、I/IIIも加担していると思います。ここはIIImでもよいのですが、重たくなるためです。
こういった青春ものにはメジャーキーでありつつも、やはり甘酸っぱさが必要になります。
ということでメロディーに半音の動きをいれたA♭マイナーペンタ+T9でFa-Miの動きをして切なさを出しています。
イントロ
印象
このイントロは、もう「目まぐるしい」「変化していく」という印象ですね。
ちょうど、内気な主人公が静かに高校生活を送っていたのに、ある日喜多川海夢に出会ったことで、突如人生が変わり始めるようなイメージです。それはもしかしたら、裁縫が全くできない喜多川海夢も同じかもしれません。
分析結果
あー、これはパラレルモーションってやつでしょうか。
調性を無視して、メジャーコードでどんどん上昇していっています。
この調性が定まらない感じが「目まぐるしい」「変化していく」の由来でしょう。
一応、ルートだけみてみるとDoReMiFaSolLeLaTiとブルースっぽい動きをしています。
Aメロ
印象
Aメロなので穏やかな感じですよね。「日常」を連想しました。
3小節目で「違和感」を感じるものの、それがそのまま「進んでいく」、そしてそれが「変化する」ような印象となりました。
9小節目で再び「日常」に戻りますが、その後は「噛み合う」印象となり、最後の2小節でまた「変化」する感じです。
分析結果
Key=Cなんですよね。イントロの終わりだとGに落ち着きそうじゃないですか?
それが偽終止でCに行くんですが、これがIVではなくIなんですよね。
Key=Gに行ったつもりでいたので、3小節目で「違和感」となるのです。
I-♭VIIという動きはよくありますよね、Hey Judeの終わりみたいな。
で、Key=CのFとGに進んでいくのですが、ここでアクセントとしてA♭によってからGに戻ります。
これが「変化」の由来ですね。
再びC(I)に戻り「日常」となりますが、今度はKey=Cであることがわかっており、かつダイアトニック上のコードG/Bとなるために、「噛み合う」となります。
しかしながら最後はまた短調由来の♭VIと♭VIIを打ってBメロに突入します。
なんとなくこの曲を聴いていて、イントロ以外も調性感がフワフワしているように聞こえるんですが、
メロディーで様々なペンタを使っていることも関係しているかもしれません。
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Bメロ
印象
Bメロは「写真を撮る」ような印象から始まります。
そして二人の「思い出が積み重なる」ような情景が思い浮かび、そして「溜まっていく」姿が想像されました。
喜多川海夢は美人ではありますが裁縫が全くできずに、ただの布切れのようなコス衣装しか作ることができませんでした。
一方、主人公の五条は日本人形を愛し、裁縫を得意とするものの内向的で学校に馴染めない。
その二人が出会って「その先に見える」「景色」のようなものがワクワク感とともに感じました。
もしかしたら人気コスプレーヤーになったりするんでしょうか。
分析結果
Key=E♭です。目まぐるしく調が変わっていきます。
「写真を撮る」の由来はリズムアレンジによるものだと思います。ギターのストロークに休みが入りベースが前に出てくる感じが、思い出という写真を撮るようなイメージとなったのです。
その後ビートが8分に乗るために「思い出が積み重なる」印象となりました。
「溜まっていく」はここでコードが倍テンして変化していくためでしょう。
「その先に見える」はここでまた短調由来の♭VIIが出てくることで、新しい世界感が演出されているためでしょうね。
最後の1小節書き忘れてしまったんですが、耳でとった感じですと、E♭m/B♭-Daug-D(Im/V-VIIaug-♭VII)という感じです。
でも歌は歌えないんですよね。。
ならボーカロイドで作曲をはじめてみたらどうだろう?
歌が歌えなくても歌を作るボカロPになれば君も立派なアーティストだよ。
参考までに筆者の曲を紹介しておくね。
サビ
印象
サビは王道の「ドキドキ」や「楽しさ」みたいなものを感じます。
5小節目からは「楽しい毎日」が「変わる」ような展開です。
サビのリフレインでも同じような印象で「続いてくポジティブさ」や「色鮮やかさ」、「きらめく感じ」という印象を持ちました。
この曲サビが長いんですが、17小節目以降は「ハッピーなエピローグ」、「まだまだ続く」、「楽しい日々」といった、
仮にこのアニメが終わったとしても二人のコンビが続いていくような印象となりました。
分析結果
歌い出しに戻り、Key=G♭です。
王道のコード進行をしていますが、スタートの4小節がマイナーペンタ+T9で半音の動きがあるために、明るいなかにどこか切ない感じがあります。それが「ドキドキ」の由来かなと。
それが5小節目からはメジャーペンタメロディーとなりダイナミックさに変化し、「楽しさ」が全面に出ます。
「変わる」や「きらめく感じ」の由来は、メロディーの符割りによりものかもしれませんね。
「色鮮やかに」はここでベースがルート音を逸脱して半ばリードパートのように音を彩るからでしょう。
「ハッピーなエピローグ」は曲の終わりに向かってコードが倍テンしながらも、ドラムのビートが変化するためですね。
「まだまだ続く」はつまりは「ウキウキ」と似たような感情で、ここはスネア主体のビートに変化する「心が弾む感じ」に由来するのでしょう。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?
各パートごとに目まぐるしく調が変わっていく感じ、主人公がヒロインに出会っていい意味で心をかき乱されていく様子がうまく表現されているようになりました。
昔のJ-POPは、転調するなら#や♭の数が転調前後でそこまで増えない調にいく、というのが王道だったかもしれませんが、
現在はそんなの関係なくあらゆる調に自由に行き来している曲が多く、聴く側もそれに慣れているためにあまり違和感を感じません。
そして、その変化自体がこういったラブコメのドキドキする感じとうまくリンクしていると思います。
素敵な楽曲をありがとう、スピラ・スピカさん。