この記事は
- 初音ミクNTのうまい調声方法について知りたい
- より人間味のある歌わせ方が知りたい
方に向けて書いています。
この記事をお読みいただければ、この質で楽曲制作ができるようになります。
初音ミクNT
ボーカロイドとしておそらく一番の知名度を誇る「初音ミク」。
ボーカロイドとしてはV4までリリースされ、様々な進化とともに多くのボカロPによって素晴らしい楽曲が生み出されてきました。
その後、2020年に「初音ミクNT」という新製品が発売され、正式にはVOCALOIDではなくなったものの、
その知名度と「初音ミク」の冠を使えるメリットから現在も多くのユーザーが楽曲を生み続けています。
筆者もこれまで初音ミクやボカロに関する記事をいくつか書かせていただき、初音ミクNTも紹介させていただきました。
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筆者はこれまで20曲以上初音ミクNTで楽曲を制作してきました。
ある程度、調声の部分でノウハウが溜まってきたため、うまく歌わせるノウハウを書いてみたいと思います。
公式がおすすめしている調声方法
なお、初音ミクNTのうまい調声の仕方として、公式で動画が上がっています。
イベントでの動画のようなんですが、こちらがまず大いに役に立ったので、見てみることをおすすめいたします。
筆者が20曲以上作ってわかったコツ
ブレスは必ず入れる
まず、歌を作る上で大事なこと。ちゃんと人が歌っても大丈夫なようにブレスが入れられるメロディーラインにすることです。
ボカロ曲なので、あえて息継ぎもできないような歌にするのもありだとは思うんですが。
将来的にやっぱり人に歌ってもらいたいじゃないですか。
そうなったとき、息継ぎできることはとても重要ですよね。
で、初音ミクの場合、ブレスは「br1」-「br5」まであるようです。
br1が一番深い感じがします。
筆者の場合は、フレーズにより「br1」-「br3」あたりを好んで使っています。
最初の頃の初音ミクNTは、ブレスの音量が大きく、ミックス段階でコンプ掛けるとブレスが非常に目立ってしまっていたんですが、現在のバージョンではいい感じの音量になっていて、入れるだけで本当に人が歌っているように演出できます。
筆者の曲、「音楽なんてやらなきゃよかった」では、このブレスでリアルさを演出しています。
歌い出しのピッチより下に入力することによって、しゃくるニュアンスも再現可能です。
フレーズの終わりのピッチを上下させる
人間ですから様々な歌い方をします。
フレーズ終わりをスパンと切ったり、ビブラートさせたり。
ビブラートは初音ミクで長さやかかり具合を簡単に調声できます。
で、実際の歌い手さんの歌い回しを聞いてみると、語尾でピッチを上げたり下げたりさせることが結構あります。
例えるならば、B’zの稲葉さん。
必ずフレーズ終わりに裏声に抜く感じの歌い回しをよくします。
これを初音ミクNTでやるといい感じになります。
ピッチをペンで書いてやる方法もありますが、あまりいいやり方ではありません。
伸ばしている母音や、無音が挿入される「asp」でフレーズ終わりに上下させるとよいです。
ちなみに筆者は変なピッチにしたくないので、上下させる際もコードトーンになるように調声しています。
(Cでメロがドだったらミかソ、オクターブ上下のド)
派手に聴かせたいときは、オクターブをよく使います。
筆者の楽曲「思い出になったときに」では、「きっとまたいつか来るよ」の「よ」でオクターブ上にピッチを上げています。
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息を抜く感じを再現する子音「h」
これも、フレーズ終わりのテクニックです。
フレーズの終わりをきっちり切って歌ってくれるのが初音ミクNTですが、それを「息を抜いた感じにする」方法です。
フレーズ終わりに子音の「h」を入力します。
そうすると、フレーズ終わりに余った息が抜かれる感じになり、より人間の歌い手に近いニュアンスが得られます。
ただ、歌詞の母音によって合わない場合があったり、「h」のノートが長すぎると不自然になるので、これは実際に聞いてみて調声する感じです。
2つ目のTipsである、ピッチを上下させるの音を「h」にすることでよりよいニュアンスになることもあります。
筆者の楽曲「きっとずっと」のAメロ「変わらない」では、この「h」で息を抜く感じを再現しています。(ちょっとやりすぎかも)
より人間らしい歌い回し「コブシ」
歌がうまい人は、単調なメロディーであってもとってもうまく聴こえます。
それは、コブシが効いているからでしょうね。
コブシを使うのは演歌だけじゃないんですよね。普通にJ-POPでも洋楽でも使われています。
カラオケなんかでもこれを指示してくる高性能なものが増えてますよね。
初音ミクの場合も、短いノートで入力することで表現できます。
コツは、必ず伸ばしている母音にすること。
「らー」であれば細かい「あ」を追加するイメージです。
ピッチはスケールに合わせて1音にすることもありますが、不自然な場合は半音にすることもあります。
これを入力していると、プロの歌い手さんのピッチの正確さに圧倒されます。どういう輪状甲状筋してるんだ!
筆者の楽曲「秋仕舞」では、「歩いて行こうよ」「こ」の部分でコブシを入れています。
こういったのはあまりやりすぎず、アクセント的に要所で使うのがいいと思います。
思ったようなピッチカーブにならないときは「asp」や「-」
メロディーを入力していると、長いノートを二つで上昇または下降した際に、ピッチが緩やかに上下してしまうことがあります。
これはソフトの仕様だとは思います。
場合によってはそれがいい歌い方になる場合もあるんですが。
ちゃんとピッチを維持して、次のピッチに移って欲しいときもあります。
そんなとき、ペンツールでピッチを描くのもいいんですが。
後々、書いたピッチって結構編集の邪魔になったりするんですよね。
そんなときは、ノートの終わりに「asp」(無音)で音を切るか、「-」で母音を伸ばすノートを入れてあげるようにしています。
子音が詰まる!ときは子音長調整
初期リリース時の初音ミクNTはそんなことなかったんですが、いつしかのバージョンアップから子音が詰まるというか、
歌い方がハネた感じになったんです。
特にBPMが速い曲では。
そんなときは、気になるノートを右クリックして、「ノートの設定」。
「歌唱スタイル」タブの「子音長割合」の値を下げてみると、自然な歌い方になります。
やりすぎると子音部分がほとんどなくなって、よけい不自然になるので、前後のノートの子音と合わせて調声してみてください。
やはり機械ですからどうしても自然にできないときもありますが、パラメータをうまく調整することで大概は自然にできると思います。
アクセントは使わないほうがいい
歌詞によって、思いを込めたいポイントってあると思います。
それに応えるように、初音ミクには「Accent」がつけられるようになっているんですが。
やってみると、やたら子音がつくようになり、またその子音部分の波形が特段大きくなります。
ボーカルに使うコンプは光学式であることが多く、早すぎるアタックを捉えることができません。
筆者は最初「Accent」を使っていたんですが、ミックス段階で耳につくことがわかったため、現在では使用していません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
初音ミクNTでより自然に歌わせるノウハウの紹介でした。
- ブレスは必ず入れる
-
フレーズの終わりのピッチを上下させる
-
息を抜く感じを再現する子音「h」
-
より人間らしい歌い回し「コブシ」
-
思ったようなピッチカーブにならないときは「asp」や「-」
-
子音が詰まる!ときは子音長調整
これらを駆使することで、初音ミクNTでも人間が歌っているような歌唱を再現することが可能です。
楽曲の質をより向上させたいときにお役立てください。