ボカロのミックスのコツとCD品質に仕上げる方法

DTM

この記事は

  • ボーカロイドのミックス方法が知りたい
  • CD音質に迫るコツが知りたい

方に向けて書いています。

 

ボカロPになりたい

 

昨今は、歌が歌えなくてもボーカロイドに歌わせることで、自分の表現したいことを歌にすることができるようになりました。

それに伴い、作曲人口も右肩上がりとなり、ボカロP由来のアーティストも増えてきました。

 

 

2020年には、最新の初音ミクである初音ミクNTも発売され、今後もボカロ曲は増えていきそうです。

 

その分、クラシカルで厳格な音楽理論を学んだ一部の方からは嫉妬されていなくもないですが、

 

大衆音楽というものは多くの人が心地よいと思えばそれが正解であるため、

あまり深く考えず楽しんでよいと思っています。

 

作ってはみたけどミックスがうまくいかない

 

でこのブログの人気記事に、ボカロの始め方なる記事があるのですが。

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おそらく最初は、既存の曲をコピーして打ち込んでみるようなことをしてみると思うんです。

もちろん、最初から作詞、作曲、編曲できる人もいるとは思いますが。

 

なんですが、実際すべてを打ち込んで聴いてみても、

なかなかCDみたいな音質にならなかったりします。

 

そうなんです。

巷で聴けるCDというのは、ミキシングエンジニアという超絶に耳のいい人達によって、

 

  • あらゆる人が
  • あらゆるスピーカーで聴いて
  • あらゆるバランスが最適に

 

調整されたものなんですね。

 

だから、打ち込んでパンを振っただけではCD音質にならないのです。

 

では、ボーカロイドで打ち込んだ楽曲をどうしたらCD音質のようにできるか。

 

今日は、ボーカルのミックス方法についてフォーカスしてみたいと思います。

 

 

 

ボーカロイドのミックス方法

 

では、実際に筆者が作ったボカロ曲で、どのようなエフェクト処理をしているかみてみたいと思います。

 

今回は、2021年7月に作った曲、「True Colors」でみてみたいと思います。

まずは、ちょっと聴いてみてください。(最初の数秒のジングルは除きます。)

 

いかがでしょうか?ギターだけは演奏していますが他は全部打ち込みです。

音圧や音質についても、いいセンいってると思いませんか?

 

この音質にするために、ボーカルトラックにしていることをみてみたいと思います。

 

EQ設定

 

まずはイコライザーの設定です。

イコライザーというのは、出過ぎた帯域を抑えたりや足りない帯域をブーストさせるエフェクトです。

 

ミキシングにおいては、あらゆるトラックに挿すもので、ボーカルだけでなく

ドラムの各太鼓やギターにおけるまで調整するものとなります。

 

詳細はこちら。

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設定をみてみると。

 

EQは基本、カットの方向で使います。

初音ミクの場合、リアルなシンガーをマイクで録音した音に比べ、低域が強く出る傾向があります。

(リアルシンガーの声も低音が出ていて、ローカットしているのだと思います。)

 

まずは、ローカットとして、150Hz以下はそもそも音としては出ていませんが、

少しでも出ていると他の楽器(バスドラムやベース)の邪魔になるのでカットしてしまいます。

 

それから、300Hzあたりを-7.5dBくらい削っているのは、ここらへんは音の根音となる部分です。

 

なんですが、このあたりの帯域はあらゆる楽器と渋滞を起こす帯域でもあり、

かつ初音ミクの声がモヤっとするポイントでもあるため削っています。

 

次に1kHz。

最近の楽曲はいわゆるドンシャリ(中域を抑えて聞きやすくする)傾向にあり、

またスペクトラム的にも強く出ているため、ここを-3dBカットしています。

 

4kHzを少し削っているのは、子音の破擦音などを抑制するためです。

それ以降の帯域をブーストしているのは、初音ミクでその帯域がリアルシンガーに比べて弱いと感じたためです。

(これもリアルシンガーであってもブーストをよくしているのを見かけます)

 

コンプ設定

 

続いてコンプレッサーです。

音を圧縮することでレベルを統一させて、全体的な音量感を揃えるためのエフェクトです。

 

詳しい使い方と種類についてはこちら。

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ボーカルをミックスする際は、光学式(OPT式)のコンプと、トランジスタ式(FET)コンプを段がけしています。

 

光学式

まずは光学式です。

光学式の特徴は、アタックが遅いこと。

 

したがって非常にナチュラルにかかります。

光学式でメジャーなのがLA-2Aという機種です。

 

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各社から様々なモデリングプラグインがリリースされています。

Logicの場合は標準搭載のコンプレッサーを挿して、「Vintage Opto」を選ぶと光学式になります。

 

今回は、オーディオインターフェースのFPGAで動作するOPTO-2Aというものを利用しました。

どのモデルでも、メーターが-3.0dB触れる程度に設定すればOKです。

(アタックタイムやリリースタイムがある場合もあまり気にしなくてよいです。)

 

設定は以下のような感じです。

RATIO: 4.1:1
THRESHOLD: -24.5dB(これは音源の波形の大きさによって値が変動します。メーターが-3〜5dB触れる程度)
ATTACK: 速め(6ms)
RELEASE: 遅め(190ms) AUTOのチェックは外す

 

サチュレーション

 

どうにもボーカロイドの音源は声の倍音が足りない傾向にあります。

したがって、サチュレーション で軽くオーバードライブさせて倍音を付加します。

 

T-RacksのClassic Clipperを利用しました。

このClassic Clipperはリミッターなんですが倍音を加えることも可能なプラグインです。

で、Slopeを-7.2に設定しています。

 

Slopeは右に回すほど効果が派手にかかりますが、今回はナチュラルな設定にしました。

Satのランプが基本点灯している状態にGAINを調整しています。

 

エキサイター

 

ミックスを行う時、質感を似せたいリファレンス曲を用意したりするんですが。

コピー曲だったりしたら、元の曲です。

 

その音源の高音域だけにフィルタリングして聴いてみると、5kHz−10kHzまでボーカルの声が聞こえるんですよね。

でも、ボカロの声だと聴こえない。

 

つまりボカロの曲は高域が足りないのです。

それを補うために、EQでブーストしたり、サチュレーション を付加したりしたのですがそれでも足りませんでした。

 

したがってここでエキサイターを使ってさらに高域をブーストしました。

今回は、6kHzから上をブーストしています。

 

ディエッサー

 

高域をブーストすると、当然のごとく子音が耳をつくようになります。

したがって、要所要所、歌詞の子音によって出過ぎてしまう子音を抑制します。

 

Logic標準のディエッサーを挿入して、主に「さしすせそ」でゲインリダクションがかかるよう閾値を調整します。

 

もう一段EQ

 

ミックスをする場合、EQを2段使うことが多いです。

コンプ前、コンプ後で使います。

 

前段は、不要な帯域を切る用途で使いますが、

後段はピークを削ったり、ミックスの兼ね合いでの音質調整をするために使います。

 

前段はほぼあらゆるミックスで共通する設定になりますが、後段は曲によってまちまちの設定になります。

 

この曲の場合は、まだ1kHzが耳を突いている感じがしたので、ダイナミックEQで削っています。

 

場合によっては、ここで10kHzあたりの子音の破擦音をカットするときもあります。

その場合もダイナミックEQで閾値を超えた場合のみとします。

 

このFabfilterのPro-Q3というEQプラグインは本当に便利で、業界やDTMer必須のプラグインとなっています。

少し高いですが、迷わず導入することをお勧めします。

 

 

フェーダー書き

 

ダイナミクスの調整はコンプで行うのですが、それでも歌の抑揚によって聞きづらいところ、

大きすぎるところが発生します。

 

本来であれば、それらはいわゆる手コンプといって、都度フェーダーを調整することによって均等にさせるんですが。

時間がない場合は、Vocal Riderというプラグインがおすすめです。

 

かんたん設定でいい感じに調節してくれます。

 

ただ、それでもAメロが大きい。でもサビが小さいとなってしまうときがありますので、

大まかにオートメーションで今回はレベル調整をしました。

 

 

ディレイ

 

ボーカロイドはそのままだと完全にドライな声です。

マイクで録音したような、自然な余韻がはなからありません。

 

したがって、空間系をしっかり調整する必要があります。

自然な残響を再現するには、ディレイを複数かますことが必要になります。

 

詳細は以下の記事で解説しています。

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筆者の場合、いつもショート、ミドル、ロングの3種類のディレイを駆使しています。

 

ショートディレイ

 

ミドルディレイ

ロングディレイ

 

 

こららをバストラックに設定して、ボーカルトラックをセンドすることによって余韻を足します。

センド量はまちまちですが、深くはかけません。ごく浅くかけます。

 

 

また、そもそも残響音というのは原音に比べて劣化したものであるため、

バストラックをEQでローカット、ハイカットもしています。

 

 

 

リバーブ

 

リバーブも同様に複数のリバーブをバストラックに作成してセンドします。

あまりこだわりがなくLogicの標準プラグインで、プリセットを選んでやっています。

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ショートリバーブ

 

ミドルリバーブ

 

ロングリバーブ

 

プレートリバーブ

 

 

ディレイ同様に減衰を劣化させるために、EQでハイカット/ローカットも行います。

センド量もディレイ同様少し余韻が残る程度で浅めに設定すればOKです。

 

 

 

CD音質に迫るコツ

 

このように、ボーカルトラックだけでもかなりのエフェクトを使っています。

 

同様に他の楽器トラックについても、EQとコンプは必ず設定します。

そのあたりは、下ごしらえの方法として記事化しています。

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のおとさん
くどしゅんさん、初音ミクのようなボカロでもCDみたいに仕上げられますか?
くどしゅん

もちろん!ボーカロイド音源だってこのノウハウを使えば、
CDみたいなリアルな音に仕上げることができるよ。
RMSメソッドも勉強すればこんなふうに質の高い楽曲が一人で作れるようになるよ。

 

 

そして最後はやはりマスタリング工程が大事です。

まずCDの音量に届かなければ、誰も聴いてはくれないのです。

 

昨今はそういった音圧調整をAIでできるプラグインもあるので、導入してみるとよいでしょう。

 

 

のおとさん
ところで曲全体のミキシングがうまくできません。どうやってもCDみたいな音にならなくて。。
くどしゅん

わかる!「歌ってみた」や「弾いてみた」動画や、DTMで作曲したときにミックスがうまくいかなくて沼にハマるよね。そんなときはRMSメソッドで巷のCDみたいなミックスに仕上げる技術を学べるよ!

しかも今なら、破格の1,600円でそのメソッドが学べるんだ

 

巷のCDのサウンドを「再現」できるメソッド(Reproducible Mixing Sound)。略してRMSメソッド。

DTMerがハマるミキシングを、たった数日で学べる音楽教材です。
Logic Pro X ユーザーでミキシングの初心者〜中級者を対象にしています。

まずはこのメソッドの紹介動画(1:30)をご覧ください。

 

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  • リファレンス曲としてヒットチャート上位曲を使用!
  • 習得したスキルは他の曲でも再現できる!
  • パラメータの設定理由や数値も全公開!
  • Logic Pro Xの標準プラグインのみを使用!
のおとさん
どうしてこんなに安いんですか?
くどしゅん
筆者自身がひとりで作ったメソッドで、サポート的な対応ができないからだよ。
筆者も音楽を作り続けないといけないから。
そのために全パラメータを公開したプロジェクトファイルが付属しているから、誰でも再現できるはずだよ!
是非やってみてね!

 

 

まとめ

 

いかがでしたでしょうか?

 

ボーカロイドの楽曲をCD品質のようにハイクオリティにする方法のご紹介でした。

 

どんなよい楽曲であろうと、編集がうまくできていない音源は聴かれません。

聴かれない音源はないのと同じなのです。

 

しっかりと編集技術を身につけてより楽曲を質の高いものにしましょう。

ちなみに世のDTMスクールもミックスのスペシャリストが教えているわけではないため、費用の無駄になる可能性があります。

 

まずはRMSメソッドでトライしてみてからでも判断は遅くありません。

どうぞ、参考にしてください。

 

 

くどしゅん
ミックス沼に10年ハマった筆者が独自で切り開いたノウハウ満載なのです。
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